
スポーツ科学から介護予防へ
- 山次 俊介
- YAMAJI Shunsuke
- 教育学部 教授(応用健康科学、測定評価)
Profile
石川県出身。2004年9月金沢大学大学院自然科学研究科博士後期課程生命科学専攻修了。1998年4月から2005年3月まで、福井工業高等専門学校講師、2005年から福井大学医学部医学科形態機能医科学講座運動?スポーツ医学領域准教授を経て、2022年より同大教育学部准教授に着任、2025年より現職。
研究者詳細ページ
地域で暮らす高齢者のために
私は、高齢者に元気で長生きしてもらう、つまりフレイル予防の研究をしています。その一つが、寝たきりなどのきっかけとなる“転倒” を予防するための日常生活におけるリスク評価、改善プログラムの開発です。例えば、転倒予防には足腰の強さを維持することは重要ですが、それだけではなく、転倒しそうになったときの体を上手に動かしてバランスを回復したり、“とっさの一歩” によって転倒を回避したりする身体機能も改善しなければなりません。これらの機能を評価するテストやエクササイズを追求しています。また、高齢者の認知症予防についても研究しています。私の研究では、軽度認知障害(MCI)の方に身体?認知の両機能を刺激するために色を塗り分けたマットを使って、赤のところだけ踏んでもらったり、記憶した番号どおりにマットを踏んでもらったりするような二重課題(デュアルタスク)のテストの開発を行っています。さらに、運動と認知の両方の機能にかかわる課題としては、高齢ドライバーの問題があります。地方では特に、生活の質を維持するため自動車の運転免許返納が難しい高齢者が多いという、身近で深刻な問題があります。高齢ドライバーは危険察知が遅れたり運転能力を過信したりしがちなのですが、私はそんな特性を運転者みずから認知できるようにした安全運転トレーニングプログラムを開発し、自治体などに提案しました。このような地域社会との連携事業には学生にも参加してもらっています。相手に寄り添い対話を重ねることが重要で、これはこれから社会に出る学生にも必要なことです。

デュアルタスクテストの様子
原点 球児の頃のリハビリ
現在は高齢者に焦点をあてた研究が多いのですが、そもそもは野球少年だった私が高校生の時の交通事故で挫折しかけたときに、熱心な理学療法士に出会い、競技に復帰できたことが原点です。身体機能の回復や向上を科学的にサポートする仕事にあこがれ、まずはスポーツ科学分野に進みました。スポーツトレーナーを目指したこともありましたが、データの分析に基づく研究が面白かったこともあり大学で研究を続けています。地域の高齢化や免許返納は社会の課題ですが、エビデンスに基づくフレイル予防に取り組めていることが今の研究の魅力です。
大学野球にはまっています!学生の勇姿を観戦する楽しみと、運営も???
