
インフラを守る!
- 鈴木 啓悟
- SUZUKI Keigo
- 工学部 准教授(土木工学、構造力学)
Profile
埼玉県出身。2006年、東京工業大学大学院理工学研究科土木工学専攻修士課程修了。2009年、東京工業大学大学院理工学研究科土木工学専攻博士後期課程修了。
2009年、東京工業大学助教。2012年、福井大学工学部講師。2018年より現職。
研究者詳細ページ
橋を架ける、橋を守る
幼いころ砂場遊びでトンネルばかり作っていました。小学生になると、青函トンネルや瀬戸大橋といった、世界に誇れる巨大インフラが建設されていく澳门百利宫赌场_百利宫娱乐场にわくわく。そんな私だから土木工学を専攻したのは自然なことでしょう。中でも橋梁の設計を志しましたが、技術開発や基礎工学の研究に取り組んでみると、それが面白くて研究者になりました。ちょうどその頃、日本のインフラは「つくる時代」から、維持補修、長寿命化や耐久力の向上が課題となる「維持する時代」へ移りつつありました。大規模インフラの先進国アメリカでは一足早かったのですが、前の東京オリンピックに合わせ1960年代、飛躍的に整備が進んだ日本の道路網、鉄道などは、今まさにこの問題に直面しています。使用しながら健全度を判別する非破壊検査やモニタリングの技術開発に取り組んでいます。
非破壊検査の次世代技術
橋梁を非破壊で点検するには、従来、目視やハンマーでたたく打音検査が行われてきました。私が研究している新技術は、超音波パルスを構造物に伝播させ、反射波を分析することで、コンクリート内部の空洞や割れ、梁の中に内蔵した高強度鉄筋材の破断などの劣化を把握します。得られたデータを高精度に処理するための手法開発も進めていて、蓄積された土木の知見や技術に加えて、最新のAIを駆使します。人間には識別が難しい微細な振動の変化をAIで分析し、その兆候を土木理論で解釈します。検査機器を簡素化、よりポータブルにする開発もしていて、災害時などに活用しやすいシステムを目指しています。

高強度鉄筋材の破断を検知するための実験中
時には地面に寝転びながらの作業をします
子どものころに憧れたインフラの安全を守る仕事は責任が重いのですが、大きなやりがいがあります。生活を支えるインフラは、正常があたりまえと思われがちです。でも実は、多くの人の日々の努力によって維持されています。研究による貢献にとどまらず、学生への実践的な教育活動や、地域社会と連携するなかで、インフラ保守を利用するみんなが自分ごととして捉えてもらえるよう、そして次世代にも誇れる仕事であるよう、未来につなげていきたいです。
自然や自分と向き合える登山とマラソンが好きです。冬山登山は厳しいですが登り切った時の絶景は最高です。(荒島岳頂上にて)
