荻野 知佳

子どもの個性に寄り添って
一人ひとりの未来を輝かせたい

  • 福井県立嶺北特別支援学校
    教諭
  • 荻野 知佳さん
  • OGINO Chika
  • 2021年度教育学部学校教育課程初等教育コース小学校教育サブコース2系卒業

「社会モデル」という視点に衝撃を受け、特別支援教育の道へ

 特別な支援を必要とする子どもたちに寄り添い、将来の可能性を広げたい―。教育学部で特別支援教育の授業を受けた時、そんな思いを持ちました。私の兄のこだわりが強い特徴に、一緒に生活している中で「なぜだろう?」と不思議に思うことがありました。講義や演習を通して、何らかの障がいや生きづらさを抱える子どもとの関わり方を知り、自分が兄に対して日々疑問に思っていたことの答えが見つかった気がして、そこから特別支援教育への情熱が高まっていきました。
 教育学部では小学校教諭1種と特別支援学校教諭1種、中学校教諭1種家庭科の免許を取得しました。学びの中で、衝撃を受けたのが、特別支援教育の社会モデルという考え方です。障がいのとらえ方には医学モデルと社会モデルの2つがあり、医学モデルは病気など健康状態を原因とする個人の問題という視点。社会モデルは社会環境が障がいの原因と考え、社会全体で障がいをフォローしていくという視点です。私自身、教員を目指す前は、障がいや生きづらさを持つ方に対して、どこか他人事のように感じていました。社会モデルという考え方を知り、周りが変われば生きづらさを抱える子どもに学ぶ楽しさを伝えられる、成長の手助けができると思い、教育の可能性にワクワクしました。

実践的な探求ネットワークは自身が成長するきっかけに

 卒業後、1、2年目は小学校の特別支援学級で担任を任されました。通常学級と特別支援学級の子どもが一緒に学ぶ共同学習では、受け持つ子どもに寄り添いながら、その子ができることをひとつずつ増やしていってほしいという思いで過ごしました。3年目からは嶺北特別支援学校に赴任し、子どもたちの個性と向き合いながら一緒に成長していっている感覚です。最初は失敗することもあります。そんな時は周りの先生たちからアドバイスをもらい、子どもとの関わり方を工夫しています。教員みんなが知恵を出し合い、一人ひとりに合った関わり方を模索する教育方法は、私が理想とする社会モデルの実践だと感じています。
 福大で思い出深いのは、地域の子どもたちと触れ合う「探求ネットワーク(協働学習支援プロジェクト)」を経験したことです。活動について議論することで意見をはっきり言えるようになり、友人に「変わったね」と驚かれたことも。3年生の時にはリーダーになって、みんなをまとめることにも挑戦しました。大学はさまざまな価値観を持つ人と出会える場所。自分と違う考え方の人を受け入れられるようになったことは今に役立っています。在学中の学生さんも勉強はもちろん遊びも楽しんで、出会いを大切にしてほしい。視野が広がるって、楽しいですから。
 教育現場に出ると、いろいろな個性を持つ子どもたちがいて、みんな愛おしい。これから教育者を目指す人は専門的な教諭資格を取得しておくと、子どもの成長に寄り添う上で強みになると思います。私もさらに専門性を磨き、子どもの未来を輝かせられる教員に成長したいです。

My memories

  • 「福井まちかど調査隊」の同期達と。楽しく遊んだ り、熱く議論したり…良い思い出がたくさんでき ました。
  • 興味のある分野で卒論を書き上げました!